記事No.13 精神疾患とは ~PTSD(心的外傷ストレス障害)~

精神疾患

PTSDとは

PTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)とは、 戦争、天災、事故、犯罪、虐待など生命が脅かされたり、尊厳を踏みにじられるような強烈なショック体験が心のダメージとなって、心的機能(脳と身体の神経システム)がショック状態に陥り、時間だたってからも、その経験に対して強い恐怖感を感じる症状です。

ショック状態に陥ると、 恐怖、麻痺、回避、再体験、過覚醒、凍りつき、虚脱、無力感、認知と気分の陰性の変化、身体症状、体調不良などの症状が続きます。
長い年月が経っても当時の出来事を想起させるような光景、感覚、感情、声、音などに対して身体が過敏に反応するようになり、恐怖に襲われたり、似た状況を極度に避けたりして日常生活が困難になってきます。

特にPTSDの人では、過去の忌まわしい体験が蘇る再体験症状(フラッシュバック、悪夢)が現れ、不安、悪夢、不眠、緊張、イライラ、集中力低下といった症状がでてきます。
日常生活において、支配的な親の元など身動きがとれない慢性ストレス環境においては、望みを失ってうつ症状、解離症状、凍りつき、死んだふり、対人恐怖、視線恐怖が生じ、回避行動に陥って家から出られなくなることもあります。

PTSDによって生じる主な症状

侵入症状

トラウマとなった出来事に関する不快で苦痛な記憶が突然蘇ってきたり、悪夢として反復される症状です。このとき、気分が不安定になり動揺したり、動悸、発汗といった身体生理的反応を伴います。

回避症状

トラウマの出来事を極力思い出すことを避けたり、想起させる人物・場面・場所を避けようとします。

認知と気分の陰性の変化

ネガティブで否定的な感情をもつようになり、ポジティブな感情がもてなくなります。
また、興味や関心の喪失し、周囲との疎外感や孤立感を感じていくようになります。

覚醒度と反応性の著しい変化

普段でも、常に神経が張りつめ、苛立ち、自己破壊的行動、警戒心過剰、些細な刺激に極端に驚いてしまう(驚愕反応)、集中困難、睡眠障害といった症状がみられます。

発症

出来事の例としては、災害、暴力、深刻な性被害、重度事故、戦闘、虐待などが挙げられます。
そのような出来事に他人が巻き込まれるのを目撃することや、家族や親しい者が巻き込まれたのを知ることもトラウマ体験となります。
また災害救援者の体験もトラウマと成り得ます。

PTSD後の人格形成への影響

PTSD発症当初は、ちょっとした刺激へ怯えたり、過剰警戒をとりますが、時間が経過すると自然に回復していくようにみえる場合も多いです。
しかし、家庭や仕事環境といった逃げ場のないストレス状況に閉じ込められ、長年に渡る慢性ストレスが続いた場合は、ストレスに対抗するためのストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が続きます。
過剰分泌となったコルチゾールは脳内に浸透して毒素として働き、扁桃体、海馬、前頭葉の神経細胞に永続的な変化をもたらし、自律神経システムを改変し、免疫、内分泌系にダメージを与え、精神的、身体的症状に影響を与えていくようになります。

成長するにつれ、心と身体の神経が分離し、感情が自分ではコントロールできない状態となり、自律神経失調症、 フラッシュバック、悪夢、パニック、過呼吸、チック、トゥレット症候群、ひきつけ、痙攣、驚愕反応、聴覚過敏、気配過敏などの症状が現れます。

トラウマの影響を受けると、自身の危険を守ろうとするため感覚が過敏となるため、素早く危険を察知しようと大量の情報が脳に伝わり神経が繊細になり感受性が高くなります。
そうなると、傷つきやすく、複雑なトラウマを受けやすくなってしまい、防衛反応として解離が進み、人のネガティブな感情をダイレクトに受けてしまうので、人との付き合いと一定の距離を置くようになりやすくなります。

HSP(Highly Sensitive Peron)とは感受性が高く1人でいることが好きな人のことで、一般的には先天的なものとされていますが、これに近い特性をもつことから、後天的に形成されている可能性も考えられます。
そのため、聴覚過敏、気配過敏が高まり、人口の多い都市部の生活に疲弊するため、HSPのように癒しを求め静かで自然の多い田舎部での生活に憧れたり、自然が好きな人が多くなるのかもしれません。

トラウマとPTSD

トラウマは心的外傷と言われ、過去の記憶と考えられてきましたが、実際のところ脳と身体の神経系統による外傷であり、心の傷として残ります。
トラウマの影響を受けやすいのは、赤ん坊の時です。
本人には自覚はありませんが、発達早期(母体内、出産、幼児期)には防衛システムが整っていないため、トラウマ経験を背負いやすく、後の防衛システムにも影響してきます。
神経過敏となった神経系に複雑にストレスが蓄積されていくと、自律神経が乱れ、不快感、興奮をおこし、幼少期は癇癪、おねしょ、爪噛み、チックなどの症状、青年期には自律神経失調症を引き起し、朝に弱く居眠りや虚弱体質、抜毛症、解離性障害(離人症、健忘など)、睡眠障害、といった症状、さらに成人するとアルコール依存、薬物依存、精神疾患(うつ病、パニック障害、摂食障害、強迫性障害、自傷行為)を引き起こすリスクが高まってきます。
また、慢性疲労症候群、 線維筋痛症、過敏性腸症候群、月経前緊張症候群、化学物質過敏症、トゥレット症候群、アルツハイマー病、自己免疫疾患、がんなど、その他ありとあらゆる慢性病に罹りやすいことが分かっています。

PTSD,トラウマ治療には

トラウマを背負うと、人間関係が長続きしない、家にひきこもりやすくなる、恋愛、子育てに自信がないといったことにも繋がり、生きづらさの原因になる可能性もあります。
一方で、人間関係が良好で、自分を支えてくれる人が周りにいるなど安心できる環境に恵まれると自然に回復していきます。
現実の耐え難い苦痛に対しても後向きにならず、前向きに努力したほうが自分のためと怒りや悲しみを力にして、学術、芸術、仕事、子育て、スポーツ等に励むことで人生を大きく好転させている人もいます。

精神論的に、逆境に対処する場合は、
1.現実と向き合う
2.不運に屈服するのではなく、不運に見舞われたことを受け入れる
3.自分の運命を責めるのでなく、いかに生きるかに責任をもつ
こととされています。

しかし、PTSDに伴う症状(うつ病、パニック障害、解離性障害)といった精神疾患に対しては、カウンセリングや精神論だけでは不十分で、脳科学と身体的な面でのアプローチが有効です。
うつ病など精神疾患では解離を生じ、自己意識が弱まり、失感感情、自律神経失調症を伴っています。
基本的には自律神経システム(脳幹)、情動・運動・本能システム(大脳辺縁系)の働きを整えていくことで、これらの症状が改善され、意識が実感できるようになり、生きがいやモチベーションを高めていけるようになります。

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