記事No.31 精神疾患とは ~強迫性障害(OCD)~

精神疾患

強迫性障害(OCD)とは

強迫性障害とは、自分の意に反して不合理な行為や思考を繰り返し行う障害をいいます。
本人の意思に関わらず頭に浮かぶ思考「強迫観念」により不安が生じ、その不安を打ち消す「強迫行為」が起こることを強迫性障害といい、どちらか片方しか現れない時は障害とはみなされません。
頭の中で無駄だと分かっていても、一日に何時間も同じことを繰り返してしまうため、無駄な時間を費やしてしまい日常生活にも支障がでてきます。

強迫性障害の発症

潜在的には、幼少期からの親子関係の問題、愛着障害、いじめといったことによるトラウマが起因し、だいたいは20歳以前の成人前に発症することが多く、壮年期での発病は少ないと言われています。
強迫性障害は、ストレスが重なるとうつ病、統合失調症、摂食障害といった精神疾患に発展する可能性が高く精神疾患の入り口段階ともいえます。

強迫性障害の症状

症状の形は人それぞれですが、共通面が多く中でも多いのが潔癖症と言われています。
また、単独でなく複合的に抱えている場合もあります。

不潔恐怖・洗浄強迫(潔癖症)

手や体の汚れが気になり(恐怖を感じ)、何度も手を洗ったり、1日に何度もシャワーに入ったりする症状です。
不潔なものに対しては強い抵抗感があるため、電車のつり革を持つこと、他の人が使った綺麗に洗われた食器を使うことに抵抗さえ感じる場合もあります。
(性格的な潔癖とは違います)

確認行為

外出するときに鍵を閉め忘れていないか、ガスの元栓は閉めたかなど確認する行為が度を過ぎる症状です。
また仕事でも、記入ミス、誤字などないか不安に駆られ何度もチェックするため、残業も多くなってしまうことも・・。

加害恐怖

加害恐怖とは、自身の行為や行動によって、人が傷つくのではないかという恐怖や不安に襲われる症状です。

「誰かに危害を加えていないか?」
「自分が悪い事をしていないか?」
と言うことがいつも気になります。

次第には、
「自分が何か事件を起こすのではないか?」
「本当は重大な過ちを犯しているのではないか?」
という不安感や恐怖心が強くなっていきます。

被害恐怖

加害恐怖とは逆に、自身あるいは他人の行為やもの等(ナイフなど)によって自分が傷つくのではないかという恐怖を異常に感じる症状です。

被害妄想は「被害にあった」という確信的なものですが、被害恐怖は「被害にあったのでないだろうか?」という不安的なものです。

自殺恐怖

自殺恐怖とは、自分がいつか自殺してしまうのではないかという不安を異常に感じる症状です。
多くの場合は自分が自殺する時の事を細かく計画したりする事で気づきます。
うつ病を発症している方に多く、自殺を考えると、自殺する場所などに拘るようになりますが、
「自分が自殺したら他の人にどのような迷惑がかかるだろう・・」
と考え、他人に迷惑をかけたくない考えから自殺に対する恐怖心が芽生え始めてきます。

例えば車に飛び込んだ場合、自分は死ねてもひいたドライバーに申訳ないと考えるようになります。
この堂々巡りをしている自分に気づいたときに「自分は異常だ」と実感するのです。

疾病恐怖(心気症・病気不安症)

人は誰もが死に対する恐怖心を持っていますが、疾病恐怖の人は病気にかかると死に対する不安も強くなり、たとえ治る病気でもがんやエイズのような不治の病にかかったかのように深刻に悩んでしまう症状です。
そのため、多くの検査を何度も受信してしまうことも多くなります。

縁起恐怖

占い、風習、神仏、宗教的なものを深く信じ込み、特定の方位や数字等が出た場合などに行動抑制やこれから良くない事が起こるといった不安、恐怖を極端に信じ込む症状です。
また、特定の儀式的なものを行わないと不幸が訪れるなど強迫観念に苛まれる場合もあります。

「神様にお祈りをしてた時に悪い考えが浮かんできたから、何度もやり直した」
「悪魔に関連することを考えたら、のりうつって誰かに危害を加えるのでは」

不完全恐怖

何等かの作業が不完全だと不安や恐怖で気が済まず、完璧にこなすまで何度も繰り返し行う症状です。

例えば、

「きちんと並んでいないといけない」

「位置が正規のところからずれてはいけない」

「手順を順番通りにしなければいけない」

「計算がきちんとあっているか」

といった強迫観念によって何度も繰り返すか、理想通りにできなければ最初からやり直すといった

行為をします。

保存強迫

多くの人が不要で、不必要な物と思っているものでも、大量に集めこんで大切に保存しておく行為です。
潜在的には、寂しさを紛らわせる行為とも考えられますが、度合いが大きい物はゴミ屋敷の住民に至るケースもあります。

数唱強迫

伝統的に不吉な数字とされるものにとらわれたり、気になる言葉が頭から離れず異常行動として現れる症状です。

例えば、気にかかる数字の回数分繰り返し行わないと気が済まなかったり、避けるなどの行為を行うといったものです。
有名人として、ベートベンはコーヒーをいれるとき、60粒の豆を数えていた例があります。

醜形恐怖(身体醜形障害)

極度の低い自己価値感に関連して、自分の身体や美醜に極度にこだわる症状です。
鏡や写真に映る自分の姿を嫌悪し、なるべく写らないようにするか、過度に鏡を見つめる傾向があります。うつ病や統合失調症を併発する割合もかなり高いと言われています。

強迫性障害になりやすい人

強迫性障害になりやすい人には性格の特徴に次のような傾向がみられます。

  1. 完璧主義
  2. 必要以上に自分の責任を感じる、責任の過大化
  3. 曖昧なことには耐えられない。白黒つけたがる。
  4. 小さな心配を重大に受け止める。
  5. 悪いことを考えていると本当にそうなる確率が高くなると思う、思考の意味の過大評価
  6. 自分の考えや感情をつねにコントロールしたがる、思考コントロールへのこだわり

強迫性障害の精神医療での治療法

投薬治療

選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (SSRI) である塩酸パロキセチン、マレイン酸フルボキサミン、もしくは三環系抗うつ薬である塩酸クロミプラミンなどが用いられることがありますが、治療効果はあまりないようです。

暴露反応妨害療法(ERP)

治療法行動療法ではエクスポージャーと儀式妨害を組み合わせた、曝露反応妨害法(英語版) (ERP) が用いられますが、克服にはかなり時間を要するようです。

強迫性障害の克服法

強迫性障害は、ストレス、不安とも関係があるため催眠療法で症状の緩和効果が得られる可能性があります。
ただし、催眠療法だけでは不十分な方が多く、その場合は有酸素運動、瞑想法、暴露療法、ハビット・リハーサル法、逆説的思考法などと組み合わせ地道に取り組んでいくことが克服への道になるかと思います。
一方で強迫行為の強いこだわりや集中力の部分を、他の分野で活かしていけないか視点を切り替えていくことも有効です。

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